平飼いたまご
2012年7月21日更新

フードプランの歴史は、1991年の第一号商品『平飼いたまご』の誕生からはじまりました。
人間が幸せに暮らせるためには、鶏も幸せでなければ。
1988年の夏、灘神戸生協の組合長であった髙村勣(いさお)さんは世界三大生協シンポジウムに参加するためにスウェーデンを訪れました。街なかでシンポジウムに関連した様々な催しが行われていた中、1つの展示が髙村さんの目に留まりました。野菜や穀物などと共に、鶏が囲いの中で放し飼いにされていたのです。羽はつやつやと輝き、元気に歩く鶏たちを見た髙村さんは「なぜ、鶏をこの様にして飼うのか?」と問いました。返ってきた答えは「鶏のWellbeing『幸せ』のためです」。

当時の組合長理事の髙村勣さん
髙村さんはその時の心境を「私たち生協は、当時の日本では食の安全について先進的な立場で考えていたつもりだった。でも、食べる人間の安全・安心、人間の健康のためにという消費側本位の考え方、あるいは安く食べられるためにという経済的合理性ばかりを追求していた。それに対してこの時聞いた話は全く別だった。考え方の基本が違った。人間が幸せに暮らせるためには鶏も幸せでないといけないという発想で行われている」と語っています。

この出来事により、髙村さんは自分の目が開かれる思いがしたと言います。「経済的利益として協同組合…皆でお金を出し合ってやればうまくいく、経済的にも合理化されるという考え方ではなく、人間社会のあり方そのものを変えていくというために協同組合がある。人や自然とのつながりの中から人としての豊かさをどう確保するか。自分たちもそういうことをしているつもりだったけれど、スウェーデンで鶏を見て、協同組合は何なのか、具体的に目指す未来がどのようなものなのかを実感した」。こんな想いを出発点にフードプランは始まったのです。

2012年7月発行「生協らしさここあり」より抜粋